一般公開の知識資料です。個別の医療・ケア判断は担当する専門職とご確認ください。
End-of-life Care / ACP

特養における看取り介護方針への移行

医学的判断を、生活の場におけるACP・ケア方針へ接続するために

出典確認日:2026-07-30 対象:特別養護老人ホーム 医療・介護関係者/一般向け 一般公開参考資料
本資料は、加算算定のための形式的な依頼文ではありません。主治医・専門医による医学的判断を、特養という生活の場におけるACP、本人・家族等の意向確認、多職種によるケア方針、施設サービス計画・看取り介護計画へ接続するための説明資料です。
ご利用上の注意:本資料は法令・制度と医療・介護実務の一般的な整理であり、法的助言、医学的診断、個別事例の判断を代替するものではありません。実際の支援は、本人の意思、心身の状態、施設ごとの指針、最新の法令・通知等を確認し、担当する医師・多職種で検討してください。

目次

  1. この資料の目的
  2. 特養での看取りは「4つの要素」をつなぐ
  3. 医学的判断と施設方針の接続
  4. 標準的な流れ
  5. 記録として確認したい内容
  6. 根拠の要点
  7. 施設における基本姿勢(一般的な実務例)
  8. 公式出典・確認日

1. この資料の目的

特養における看取り介護方針への移行は、介護報酬上の加算算定を目的とした形式的な手続きではありません。

また、医師からご家族へ改めて「看取りです」と宣告していただくことを目的とするものでもありません。

本資料の目的は、主治医・専門医による医学的判断を、生活の場である特養におけるACP、本人・家族等の意向確認、多職種によるケア方針、施設サービス計画・看取り介護計画へ接続することです。

2. 特養での看取りは「4つの要素」をつなぐ

特養における看取り介護は、次の4つが連続して成立します。

1

医学的判断

医師が、回復の見込み、治療可能性、予後、苦痛緩和の必要性を医学的に判断する。

2

ACP・意思決定支援

本人が何を大切にしてきたか、家族等が本人の意思をどう理解しているか、今後の医療・ケアをどう希望するかを確認する。

3

施設としてのケア方針

医師、看護、介護、生活相談員、管理栄養士、介護支援専門員等が、生活の場でどのように支えるかを協議する。

4

介護保険実務

施設サービス計画、看取り介護計画、説明・同意、日々の記録に反映し、運営指導時にも説明可能な形に整える。

3. 医学的判断と施設方針の接続

お願いしたいのは、「看取り加算のための文言」ではありません。

主治医・専門医の診療情報と、施設での現在状態を踏まえ、特養という生活の場で看取り介護方針を検討することが医学的に妥当かについて、医療側の確認をいただきたいという趣旨です。

その確認があることで、施設側では、多職種カンファレンス、施設サービス計画の変更、看取り介護計画の作成、本人・家族等への説明・同意へ進むことができます。

4. 標準的な流れ

1. 医学的契機の把握

主治医・専門医等から、回復の見込みが乏しい、積極的治療が困難、緩和的対応が中心となる等の情報を確認する。

2. 医師による医学的確認

診療情報と施設での現在状態を踏まえ、特養で看取り介護方針を検討することが医学的に妥当か確認する。

3. ACP・意思決定支援

本人の意思、家族等の理解、救急搬送、心肺蘇生、入院希望、施設での生活継続希望等を確認する。

4. 多職種カンファレンス

医師、生活相談員、看護職員、介護職員、管理栄養士、介護支援専門員等で、施設としてのケア方針を協議する。

5. 計画変更・説明同意

施設サービス計画および看取り介護計画を、苦痛緩和、安楽保持、尊厳保持、本人らしい生活、家族支援を中心とした内容へ見直し、本人または家族等へ説明・同意を得る。

5. 記録として確認したい内容

医師の確認記録としては、以下のような趣旨が確認できれば、施設側で次の実務へ進みやすくなります。

主治医・専門医の診療情報および施設での現在状態を踏まえ、医学的に回復の見込みが乏しく、今後は苦痛緩和と生活支援を中心とした看取り介護方針を検討することが妥当である。

これは、主治医・専門医の判断を否定するものではありません。その医学的判断を、特養でのACP・生活支援方針へ接続するための確認です。

6. 根拠の要点

特養の看取り介護加算では、医師が医学的知見に基づき回復の見込みがないと判断した入所者について、多職種が共同で介護計画を作成し、本人または家族等へ説明・同意を得ることが求められます。

また、入所時に看取り指針の説明・同意を得ていても、実際に看取り介護の必要性が認められた場合には、遅くとも看取り介護開始前に同意の有無を確認する必要があります。

ACPに関する厚生労働省のガイドラインでは、本人の意思は変化し得ること、本人・家族等・医療ケアチームで繰り返し話し合い、その内容を文書にまとめて共有することが重視されています。

7. 施設における基本姿勢(一般的な実務例)

特養における看取り介護は、医師の医学的判断だけで完結するものではなく、介護保険上の手続きだけで成立するものでもありません。

一般的には、医学的判断を起点に、本人・家族等の意向、ACP、多職種によるケア方針、施設サービス計画、看取り介護計画、説明・同意、日々の記録を連続した支援として組み立てます。

具体的な連絡手順、様式、役割分担、緊急時対応は施設ごとの指針や体制により異なります。法人・施設固有の運用ルールは、各施設の内部規程と最新の関係通知を確認してください。

8. 公式出典・確認日

以下の厚生労働省資料を2026年7月30日に確認しました。制度改正や通知更新があり得るため、実務で利用する際はリンク先の最新版も確認してください。

  1. 人生会議(ACP)普及・啓発ページ本人を基本とした意思決定、繰り返しの話し合い、多職種による支援の確認。
  2. 人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスに関するガイドライン(2018年改訂)本人の意思、医療・ケアチームによる慎重な判断過程の確認。
  3. 同ガイドライン 解説編意思決定支援と話し合いの実務的背景の確認。
  4. 指定介護老人福祉施設等の介護報酬に関する留意事項通知(看取り介護加算関係)医学的判断、多職種計画、説明・同意、記録の要件確認。
  5. 厚生労働大臣が定める施設基準(平成27年厚生労働省告示第96号)看取り指針、説明・同意、体制整備、研修等の基準確認。
  6. 令和6年度介護報酬改定について2024年度改定の公式資料と履歴の確認。
  7. 令和8年度介護報酬改定について現行改定情報の更新有無を確認する入口。

本ページは公式資料の全文転載ではなく、実務上の関係を整理した参考資料です。法令・通知・個別の医学的判断については、必ず公式資料と担当する専門職の判断を優先してください。