目次
- この資料の目的
- 特養での看取りは「4つの要素」をつなぐ
- 医学的判断と施設方針の接続
- 標準的な流れ
- 記録として確認したい内容
- 根拠の要点
- 当施設の基本姿勢
1. この資料の目的
特養における看取り介護方針への移行は、介護報酬上の加算算定を目的とした形式的な手続きではありません。
また、医師からご家族へ改めて「看取りです」と宣告していただくことを目的とするものでもありません。
本資料の目的は、主治医・専門医による医学的判断を、生活の場である特養におけるACP、本人・家族等の意向確認、多職種によるケア方針、施設サービス計画・看取り介護計画へ接続することです。
2. 特養での看取りは「4つの要素」をつなぐ
特養における看取り介護は、次の4つが連続して成立します。
医学的判断
医師が、回復の見込み、治療可能性、予後、苦痛緩和の必要性を医学的に判断する。
ACP・意思決定支援
本人が何を大切にしてきたか、家族等が本人の意思をどう理解しているか、今後の医療・ケアをどう希望するかを確認する。
施設としてのケア方針
医師、看護、介護、生活相談員、管理栄養士、介護支援専門員等が、生活の場でどのように支えるかを協議する。
介護保険実務
施設サービス計画、看取り介護計画、説明・同意、日々の記録に反映し、運営指導時にも説明可能な形に整える。
3. 医学的判断と施設方針の接続
お願いしたいのは、「看取り加算のための文言」ではありません。
主治医・専門医の診療情報と、施設での現在状態を踏まえ、特養という生活の場で看取り介護方針を検討することが医学的に妥当かについて、医療側の確認をいただきたいという趣旨です。
その確認があることで、施設側では、多職種カンファレンス、施設サービス計画の変更、看取り介護計画の作成、本人・家族等への説明・同意へ進むことができます。
4. 標準的な流れ
主治医・専門医等から、回復の見込みが乏しい、積極的治療が困難、緩和的対応が中心となる等の情報を確認する。
診療情報と施設での現在状態を踏まえ、特養で看取り介護方針を検討することが医学的に妥当か確認する。
本人の意思、家族等の理解、救急搬送、心肺蘇生、入院希望、施設での生活継続希望等を確認する。
医師、生活相談員、看護職員、介護職員、管理栄養士、介護支援専門員等で、施設としてのケア方針を協議する。
施設サービス計画および看取り介護計画を、苦痛緩和、安楽保持、尊厳保持、本人らしい生活、家族支援を中心とした内容へ見直し、本人または家族等へ説明・同意を得る。
5. 記録として確認したい内容
医師の確認記録としては、以下のような趣旨が確認できれば、施設側で次の実務へ進みやすくなります。
これは、主治医・専門医の判断を否定するものではありません。その医学的判断を、特養でのACP・生活支援方針へ接続するための確認です。
6. 根拠の要点
特養の看取り介護加算では、医師が医学的知見に基づき回復の見込みがないと判断した入所者について、多職種が共同で介護計画を作成し、本人または家族等へ説明・同意を得ることが求められます。
また、入所時に看取り指針の説明・同意を得ていても、実際に看取り介護の必要性が認められた場合には、遅くとも看取り介護開始前に同意の有無を確認する必要があります。
ACPに関する厚生労働省のガイドラインでは、本人の意思は変化し得ること、本人・家族等・医療ケアチームで繰り返し話し合い、その内容を文書にまとめて共有することが重視されています。
7. 当施設の基本姿勢
特養における看取り介護は、医師の医学的判断だけで完結するものではなく、介護保険上の手続きだけで成立するものでもありません。
医学的判断を起点に、本人・家族等の意向、ACP、多職種による施設ケア方針、施設サービス計画、看取り介護計画、説明・同意、日々の記録が連続して成立する一連の支援と考えています。
入所者様が生活の場で穏やかに過ごせるよう、医療と介護の連携を大切にして進めてまいります。